世界観
プロローグ
タイヨウ系の崩壊によってボクらの始祖・ジンルイは
三万年前に散り散りになりました。
ジンルイには高度な文明があったので
ウチュウでもボクらは人工ワクセイで生きています。
だけどタイヨウが失くなったので
昼と夜の区別がありません。
ウチュウの下で静かに暮らす、
そんな日々が三万年経ちました。
あるとき窓の外にヒカリが現れました。
人工ワクセイの自転のため
一日十二時間だけ見えなくなるヒカリです。
そしてヒカリには引力があって
散り散りになったボクらの人工ワクセイが
ゆっくり集まっているそうです。
ボクらの新しいタイヨウ系です。
ボクらはヒカリがやってくる時間になると
ヒカリを目指して歩きます。
ある者は歌いある者は踊り
楽器を鳴らして行進します。
夜明けが来ることを心から喜んで
新しいタイヨウ系を讃えます。
毎日毎日お祭り騒ぎ。
毎日毎日どんちゃん騒ぎ。
そんなボクらを誰かが指差して
「夜明け団」がやってきたと言うのです。
【夜明け団】
ここ数十年の間で盛んになった音楽活動と、それを行う者たちの総称。初めての夜明けから一週間後ほどに綺麗な朝を見に行こうと誰かが言いだして、それが町中に広まって大行列が東に向かって歩いたことを切っ掛けに、たくさんの者たちが後に続いて現在に至ります。
具体的な活動としては歌と踊りで騒ぎながら東のほうへ歩き、朝になったら帰ってくるというもので、最近では移動する宴会のような認識も多くあります。しかし、美しい夜明けを見た者はたちまちその魅力に取り付かれて次の夜も歩き出すようになるそうな……。
【指揮者】
あらゆる夜明け団のリーダーで創始者。タクトと呼ばれる道具を操り、先頭で音楽をまとめる役目を担う者のことで、今これを見ている君の役職です。夜明け団が流行り出した頃は大層な志を持たなければ始めてはならないと言い張る者もいましたが、今時は遠出の切っ掛けにする者も多く存在します。思いは様々に、夜を歩く理由に夜明け団を選んだのです。
音楽家を集めたり活動資金を稼いだり、夜の危険からみんなを守るために気を配ったり、リーダーと言うからにはやることも多くあります。そして夜更かしをするため昼はずっと眠っていて、夕方から動き出す夜型です。
【ワクセイ】
太陽の膨張によって三万年前に太陽系が崩壊した際、生き物が住めなくなってしまったチキュウという星を模倣して作られた、自動開拓済惑星型スペースフロートシリーズの略称。つまりはジンルイが宇宙へ脱出するために使われた宇宙船のことで、この世界は開発された宇宙船のうちの一機です。月に対応するものは付随していませんでしたが、ヒカリが現れてから記念碑としてアルテミスという月に似た人工衛星が打ち上げられ、ますますチキュウによく似てきました。
体積はかつて宇宙船を開発した地域によって異なりますが、当然ながらチキュウよりはずっと小さいです。内部が動力を生み出す装置になっており、北半球に人々が暮らせる大陸、南半球は海と内部に関わるパーツを設置しています……が、君を含む夜明け団には特に関係の無い話です。
【ヒカリ】
数十年前に突然現れた発光する物体。一般人には太陽の復活か、もしくは恒星と呼ばれる星であるという考えが広まっていますが、実際のところはあれがなんなのかは解明されておりません。夜明け団が流行り始めたということも相まって、太陽と音楽の神・アポロンであるとして崇める宗教が広まりつつあります。
しかし君たちの夜明けが美しく心を焦がすことに変わりはなく、君の机上に真実は必要ありません。あれはただ闇を散らし黒から白へ、壮大なる朝を現す舞台照明であれば良いのです。君はこの世界に夜明けを見に来たのですから。